Q&A4 治療費の支払いを打ち切られそうなときはどうすればよいか
治療の終了を決めるのは誰?
治療の終了を決めるのは主治医です。保険会社ではありません。まず、この点を間違えてはなりません。主治医の先生が、これ以上よくならないと判断してはじめて治療が終了し、症状固定となるのです。ただし、いざ裁判になると、治療の必要性を決めるのは裁判官になってしまうので、主治医の先生の指示で通院していても、通院の必要性を認めてもらえない場合もあります。
保険会社が決めるのは「支払」についてだけ
保険会社が決めるのは、治療の終了ではなく、治療費の支払の終了です。ですから、たとえ保険会社が治療費の支払いを打ち切っても、自費で治療費を支払えば、治療を続けることはできます。
しかし、多くの方は、保険会社が治療費の支払いを終了すれば、それ以上治療はできないと誤解しています。そのため、治療自体を諦めてしまいます。これこそが保険会社の本当の狙いと言えます。
医師から「どちらでもいいよ」と言われたら?
もっとも、治療を終了すべきかどうか主治医に尋ねると、「どちらでもいいよ」と言われてしまうことがあります。これは、主治医の先生としては、もはやいつ終了にしてもよいとお考えということです。この場合は原則としてなるべく早めに治療を終了して症状固定にした方がよいと思います。ただし、治療を続けた方がよいケースもあるので、弁護士に相談することをお勧めします。
治療期間を延ばすことがベストとは限らない
治療期間を延ばすことがベストとは限りません。たとえば、頸椎捻挫で1年以上通院した場合、後で裁判を起こしても、「そんなに長い治療は必要なかった」とされて治療費すら払ってもらえない場合があります。また、長い時間が経つことで事故と後遺障害との因果関係がはっきりしなくなり、後遺障害の等級が認められにくくなるというリスクもあります。
「後遺障害」の場面で戦うということ
長く治療を続けたいという気持ちももっともですが、ほどほどのところで症状固定として、確実に後遺障害の等級を獲得するという発想が大切です。なぜなら、後遺障害の等級が認められるかどうかで、たとえば一番低い14級であっても損害賠償の額はおよそ100万円以上変わる場合が多いからです。