被害者参加制度について
Column 被害者参加制度について
殺人事件や自動車運転過失致死傷事件(交通事故)など、特定の犯罪の被害者や遺族は、犯人の刑事裁判に参加することができます。これを「被害者参加制度」といいます。交通事故を例にとって説明します。
交通事故などの被害者や遺族の保護を、裁判に出席し意見陳述や被告人へ質問
交通事故で他人を死亡させ、または重傷を負わせた加害者は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では検察官が加害者の処罰を求め、弁護人が弁護し、裁判官が判決で加害者の刑を決めます。被害者や遺族は刑事裁判で当事者になるわけではありません。
しかし、被害者保護の立場からすれば、被害者や遺族も刑事裁判により深く関わることが望まれます。そこで平成19年の刑事訴訟法改正で被害者参加制度が導入されました。以前から被害者が心情について意見陳述をする制度はありましたが、被害者参加制度では、被害者や遺族は被害者参加人として裁判に出席して検察官の隣に座り、検察官と同じように事実または法律の適用についての意見陳述をしたり、被告人に質問したりするなど、より積極的に刑事裁判に参加できるようになりました。
弁護士に依頼するのが一般的、加害者への損害賠償請求の対応も
もっとも、意見陳述や質問をするためには、事前に証拠資料を読んで検察官と十分な打合せをした上で、予定している意見陳述や質問の内容を明らかにして申請をしなければならないので、実際には弁護士に依頼して意見陳述や質問をしてもらうのが一般的です。
被害者参加制度を利用したとしても、たとえばひき逃げでない交通死亡事故などの場合は、加害者の刑が劇的に重くなるとはいえません。しかし、どうしても刑事裁判で裁判官に伝えたいことがあったり、被告人に聞いてみたいことがある場合には、被害者参加制度を検討してよいでしょう。弁護士によっては加害者への損害賠償請求と合わせて対応してくれる場合もあるので、関心のある方は相談してみられるとよいと思います。
(平成26年6月12日掲載)
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