依頼者に寄り添うとは?
佐藤です。
先日、ブログでご紹介した半田山植物園のスタッフの方からお話を聞く機会がありました。
半田山植物園の桜はすべてソメイヨシノだそうです。ソメイヨシノは一気に開花してきれいですが、花の期間が短い上に、樹の寿命も50年程度と短いため、来園者がもっと楽しめるように、今後は桜の種類を増やせたらよいと考えておられるとのことです。私が目先の桜の花を見て楽しんでいる間に、スタッフの方はもっとずっと先のことを考えておられたのでした。
ところで、最近では、弁護士の間で「依頼者に寄り添う」という言葉が使われることが増えてきたように思います。
しかし、実は「依頼者に寄り添う」ことは非常に難しいことです。なぜなら、「依頼者に寄り添う」ということは、単に依頼者の希望通りにするということではないからです。
依頼者の希望通りにするということは別に難しいことではありません。法律上認められるか、裁判になっても認められるか、ということを考えず、弁護士がひとまず依頼者の希望通りになんでも請求するということは、弁護士にとって簡単です。しかも、そのようなやり方は、一部の依頼者の方にとっては嬉しいことかもしれません。
しかし、それは無責任だと私は思います。無理なものは無理、難しいものは難しいと、まずはきちんと依頼者に情報提供する、その上で、依頼者のためにベストを尽くすということが、法律のプロフェッショナルである弁護士の責務です。たとえ依頼者をがっかりさせることになっても、まずはきちんと情報を提供することが大切だと思います。
依頼者に不利な事情を踏まえた上で、それでも請求するのであれば、予想外に不利な結果が依頼者に降りかかることは避けることができます。
依頼者を悲しませたくないから、厳しい現実はあえて伝えず、とりあえず依頼者の希望どおりにやってみるというのは、情報提供という弁護士の責務の放棄にほかなりません。そのようなやり方では、後になって予想外に不利な結果が依頼者に降りかかることになります。結果的には依頼者をもっとがっかりさせることになります。
弁護士として「依頼者に寄り添う」というのは、難しいことです。それでも、私は「依頼者に寄り添」い続けたいと思います。
私だけでなく、当事務所一同、みなそう思っていると信じています。
(平成29年4月27日)
ブログの最新記事
- NHK岡山放送局「もぎたて」の取材に応じました
- 自動車保険の選び方
- 縁ある人たちの心を穏やかに
- 山陽新聞レディア9月26日号に掲載されました
- あおり運転をなくしたい
- 日本交通法学会定期総会に出席しました
- 山陽新聞レディア5月23日号に掲載されました
- こうなる!事件番号
- 山陽新聞レディア4月11日号に掲載されました
- 「週刊VISION岡山」で岡山プロネットが紹介されました
- 工房かたつむり感謝の集いに行ってきました
- どうなる?事件番号
- 時代は変わり続ける
- 根拠のない自信と付き合う
- 10周年を迎えました
- 自然災害債務整理ガイドライン
- 私たちにできること(災害相談の無料化)
- 良い予想外は平常心から
- 始まりの季節に
- 気づけば春
- 知っておくべき仮想通貨
- 今年もお世話になりました
- 保険代理店向け勉強会を実施しました
- やはり怒ったら負け
- 突然のドライブレコーダー人気
- 見方を変える
- 岡山弁護士会のアディーレ問題無料電話相談
- 自転車保険の義務化
- ドライブレコーダーのすすめ
- 写真はありませんが
- 労災事故が増えている?
- 残暑お見舞い申し上げます
- お盆休みのお知らせ
- 真の専門性とは
- 「事業承継完全攻略セミナー」の講師をしました
- 怒ったら負け
- 事務所名の由来
- 縁の下の力持ち
- 岡山弁護士会県民集会に参加しました
- 開かれた事務所とは?
- 桜の名所
- 多角的に見るということ
- 会社と従業員のための労災対策を講演しました
- 二輪車の自動車保険加入率
- 弁護士会副会長に選任されました
- 民法改正と交通事故
- 社労士会との合同勉強会に参加しました
- 「労災事故完全攻略セミナー」の講師をしました
- 保険代理店様向け勉強会(第3回)を行いました
- 雪雲
- 今年もどうぞよろしく
- 明けましておめでとうございます
- 年末相談のお知らせ
- 年末年始休業のお知らせ
- 高次脳機能障害に関する講演会に参加しました
- あせらず頑張りすぎず
- バスの中では着席を
- あるものを生かすということ
- 松葉杖
- 寄り道
- 高齢者による交通事故への対策
- 保険代理店様向け勉強会(第2回)を行いました
- 脳脊髄液減少症に関する講演会に参加しました
- ブログ始めました