建設現場で作業中に頭を強打し、高次脳機能障害で後遺障害1級の認定を受け、1億3000万円の賠償金を獲得した事例
事故内容
依頼者(20代男性)は、ビルの建設現場において地上で作業をしていました。そのとき、近くでクレーン車も作業中でしたが、誘導係の不適切な指示とクレーン操縦士の操作ミスが重なり、クレーンが高さ20メートル付近の足場に引っかかって足場が落下し、依頼者の頭に当たりました。依頼者は一命を取り留めましたが、高次脳機能障害による両下肢と右上肢の機能全廃という重い障害が残りました。そのため、労災保険と自賠責保険の双方で1級の後遺障害が認められました。
依頼の経緯
依頼者は、事故後の会社の対応に強い不満を持ち、家族とともに相談に来られ、数回の継続相談の後、当事務所に依頼されました。
対応
このケースは、労災事故であるとともに、クレーン車による事故でもあるので、労災保険と自賠責保険の双方で後遺障害の等級認定を受けました。労災保険によって被害者の医療費や生活費が確保できており、被害者の症状からみて自賠責保険でも1級の認定が得られるのは明らかであることから、自賠責保険の等級認定では事前認定の方法をとりました。その後、労災事故の報告書や刑事事件の記録を証拠として、依頼者の勤務先会社、元請会社、クレーン会社に対して損害賠償を求める裁判を起こしました。
結果
裁判では、勤務先会社、元請会社、クレーン会社はそれぞれ自社には責任はないと主張し、他の会社に責任を押し付け合って激しく争う状態になりました。しかし、裁判を通じて事故当時の詳しい作業状況が次第に明らかになりました。第1審の地方裁判所は、3社それぞれに責任があるが、クレーンの近くで作業していた被害者にも1割の落ち度があるとして、合計1億3500万円の支払いを命じる判決を下しました。
この判決に対しては、依頼者と3社が全員控訴しました。第2審の高等裁判所では、裁判官から、1億3000万円にて和解するよう強い勧めがありました。このときすでに事故から5年以上経過しており、依頼者は早期解決のため、裁判所の勧めを受け入れて和解しました。