植物状態になった場合、加害者側の保険会社との交渉について
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Q 植物状態になった場合、加害者側の保険会社との交渉はどうすればいい?
私の母は車に跳ねられ、植物状態(遷延性意識障害)になりました。今後、加害者側の保険会社と損害の賠償について交渉しなければならないのですが、母は自分で判断することができません。どうすればよいでしょうか。
A 成年後見人を選び、成年後見人が弁護士に交渉の依頼を
まず成年後見開始の申し立てをする必要があります。
成年後見制度(法定後見)とは、重い認知症や事故による植物状態など、判断能力が常に欠けていて財産の管理ができない人(被後見人)のために、家庭裁判所が援助者(成年後見人)を選ぶ制度です。裁判所が選んだ成年後見人が、お母さんに代わって保険会社との交渉や裁判を行うことになります。
成年後見開始の申立ができるのは、お母さん本人又は一定の親族ですから、あなたも家庭裁判所に成年後見開始の申立をすることができます。成年後見人の候補者としては、あなた自身または他の親族を指名するのがよいと思いますが、家庭裁判所が指名どおりに選んでくれるとは限らないので注意が必要です。また、弁護士を成年後見人の候補者に指名することもできます。ご自分や親族が成年後見人になるのが不安であればご検討ください。
あなたを含め親族の方が成年後見人に選ばれた場合、成年後見人自身で保険会社と交渉するよりも、弁護士に交渉を依頼することを強くお勧めします。保険会社は裁判所の基準よりも安い金額を提示することが多く、そのことを知らずに示談するおそれがあるからです。弁護士に依頼することで適切な額の損害賠償が受けられる可能性が高いのです。
(平成25年8月29日掲載)
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