交通事故と高次脳機能障害
掲載記事(内容)
交通事故と高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、脳梗塞や事故などによって脳に小さな傷がついたことが原因で記憶力や注意力が低下したり、ものごとを順序立てて行うことができなくなったり、周囲とうまくコミュニケーションをとることができなくなることをいいます。
交通事故で頭を打った場合にも高次脳機能障害が起こることがあります。
外見や症状だけでは分かりにくい CTやMRIでも判別不能な場合も
問題なのは、高次脳機能障害が、外見だけでは原因も症状も非常に分かりにくい障害だということです。原因となる脳の傷があっても、小さければエックス線で撮影するCT(コンピュータ断層撮影)では写らず、磁気で撮影するMRI(磁気共鳴画像装置)でないと写らないことがありますし、MRIでも写らないことすらあります。また、記憶力が低下する等の症状が発生しても、単なる事故のショックで一時的なものだと思われて気づかれないこともあります。
後遺症の有無やその程度の重さが損害賠償の判断に重要な役割
交通事故の被害を受けた場合、加害者に損害賠償を請求することになりますが、その損害賠償の額を決める上で、事故の後遺症が有るかどうか、その後遺症はどの程度の重さ(等級)なのかが非常に重要な判断基準になります。
後遺症の有無とその等級は、医師の作成した診断書をもとに、自賠責保険の保険会社が認定します。そのため、医師が治療の際に異状に気付かず記録していなかったり、自賠責の保険会社が異状を見落としたりすると、後遺症が認められなかったり、認められても低い等級になってしまうおそれがあります。そうすると、認められる損害賠償の金額も低くなってしまいます。
事故や医療に詳しい弁護士に相談を
交通事故に遭った後、少しでも記憶力や注意力の低下などの異変があった場合には、すぐに医師に知らせて判断を仰いでください。そして、必要な検査は全て受け、高次脳機能障害に詳しい病院を紹介されたらそれに従ってください。また、早めに交通事故や医療に詳しい弁護士に相談し、高次脳機能障害の可能性があることを伝えてアドバイスを受けてください。
(平成24年3月23日掲載)
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