器質性うつ病等で後遺障害非該当になったものの、裁判で12級13号相当を前提とした和解が成立し、約1000万円を獲得した事例

後遺障害 器質性うつ病(12級13号相当)
通院慰謝料 160万円
後遺障害慰謝料 260万円
逸失利益 550万円
総額 約1000万円

※自賠責保険金を含みます。

被害者 40代男性(会社員)

事故状況

 被害者は自転車で交差点に差し掛かったところ、一時停止を無視して進入してきた車に跳ねられて頭を強打した上、大腿骨を粉砕骨折するという重傷を負いました。

 被害者は病院に3か月間入院し、その後も脳神経外科、整形外科で通院治療を受けました。

 また、事故後に重い抑うつ症状も現れたため、退院後は精神科の治療も受けました。

受任の経緯

 被害者は、脳神経外科で広範性軸索損傷、整形外科で大腿骨骨幹部粉砕骨折、精神科で器質性うつ病の後遺障害の診断を受けました。

 被害者はご自分で自賠責保険に等級認定の申請をしましたが、後遺障害はいずれも非該当となり,当事務所に相談・依頼されました。

異議申立の結果

医療記録を調べた結果、被害者は事故によって意識障害を負ったものの、意識障害の程度と時間がやや軽いと判断されて高次脳機能障害が認められなかったこと、整形外科における症状固定が遅かったためにリハビリが長引き、股関節の可動域がわずかに後遺障害の認められる条件を満たさなくなったこと,器質性うつ病については器質的変化が不明瞭と判断されたことが判明しました。

医師の意見書を用意して異議申し立てをしたものの、結果は変わりませんでした。

裁判の結果

 この時点で事故から3年近くが経過していたため、これ以上異議申し立てを繰り返したり、裁判外での示談交渉を行ったりすることはかえって時間の無駄と考えられました。

 そこで、精神科の医師に、器質性うつ病と判断した理由についての意見書をさらに追加して書いてもらって裁判を起こしました。裁判では、裁判官から画像に基づく立証を求められたため、被害者の脳の器質的変化を説明するために、MRIの画像を証拠として提出しました。

 その結果、裁判所から、後遺障害12級13号相当を前提とする約1000万円の和解案が提示されました。被害者と加害者側の双方がその案を受け入れて和解が成立しました。

ポイント

 本件では被害者は心身に大きな傷を負っており、仕事にも重大な支障が出ていました。それなのに後遺障害の等級が認められず、被害者は二重に苦しんでおられました。

 裁判では、医師の意見書と、MRIの画像が、裁判官に後遺障害12級相当を認めてもらうための決め手になったと思います。
 ただ、医師に意見書を書いてもらうだけではなく、被害者とともに主治医に会って話を聞き、意見書の内容やその根拠を裁判官にできる限り分かりやすく説明できたことがよかったのではないかと思います。主治医の先生が被害者のことを心配して詳しく説明してくださったことが役に立ちました。

 私にとっても医学的に難しい問題が多くて苦しい裁判でしたが、主治医の先生に助けていただき、被害者の方とともに頑張って結果を出すことができました。諦めてはならないことを痛感させられた事案でした。

(被害者の過失割合 10%)

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